グリップ=摩擦力は摩擦係数μ×荷重で求められる。
摩擦係数μは素材で決まる。同じコンパウンド(タイヤ)、同じ路面を走る場合は一定と考えて良い。
つまり、幅...「接触面積」との比例関係には無い。

荷重が等しければ、接触面積の少ない方が摩擦力は大きい。
従って、タイヤは細い方がグリップが良い
極端なアンダー路面を走るラリーカーに非常に細いタイヤが用いられるのはこのためだ。

では、摩擦係数×荷重が最大摩擦力(*)を上回った場合はどうか。この場合は接地面積を増やして最大摩擦力を上げなければ(等荷重ならば単位面積当りの荷重が減少する=許容最大荷重は増加する)、タイヤが(あるいは路面が)激しく摩耗するばかりでグリップしない。
F-1等のRヘビー車・RWD車の後輪にワイドを採用するのはこのためである。

(*)摩擦力には限度がある。一定の素材(路面とタイヤ)において摩擦係数は一定なので、摩擦力を増すには荷重を増やせばよいが、それが可能なのは素材が破壊するまでの間に限られる。

「幅が広いとグリップが良い」「(幅によって)グリップは良いがトラクションが...」等と言っている人を見たことがあるが、どちらも基本的に間違いである。
グリップもトラクションも要は摩擦力、それがいつ最大に発揮されるかは、タイヤの幅で左右されるものではない。

重要なのは「荷重が最適か・ベタ接地しているか(「キャスター/キャンバー/トー角」参照)」どうか、なのだ。